No. 69 タケノコガイ科のシロフタケ(白斑竹)

第69回目は、タケノコガイ科のシロフタケ(白斑竹)です!

 シロフタケは紀伊半島以南、熱帯インド-西太平洋の潮間帯下部〜水深20mの砂底に生息するタケノコガイです。殻長は150mm前後に達し、本邦最大種のリュウキュウタケに次ぐ大型種の一つです。
 螺塔はキリのように細く長く伸び、端正なシルエットで非常に上品な佇まい。殻表は鈍くも強い光沢を帯び、さらに淡いオレンジ色で彩られる様は、これぞいかにも南国の貝!といった風情で気分を盛り上げてくれます。写真を見れば一目瞭然ですが、本種はこれだけでは終わりません。あろうことか、この上にはさらに小粋な白斑が均等に並び、他の追随を許さぬ美貌に心を奪われることでしょう。しかし綺麗な花には棘があるもの。殻口外唇はナイフのように薄く鋭くなり、取り扱いの際は破損と怪我に要注意です。
 タケノコガイ採集はまさにタケノコ掘りそのものです。本科の貝は概ね昼間は海底の砂に潜って過ごすため、海底に残された足跡をなぞり、これが途切れる点を掘るとゴロリと唐突に現れます。実際に掘るまで何が出てくるかわからないため実に面白く、特に幅の広い足跡の場合は大型種の出現が約束されるため(時にはタマガイ科が出ることも)、掘る前から胸の高鳴りが抑えられません。本種のように派手な種が現れたときの感動はひとしおで、碧い海に眠る宝を見つけたような、そんな感覚に酔いしれるのです。
 今回、久しぶりに学生の頃に集めた標本からチョイスしてみました。採集ラベルは2018年8月。もう7年も経つのに、今でもはっきりと採集した時の景色が蘇ります。今は鹿撃ちとして北海道にエゾシカを追う身ですが、またそのうち、貝を求めて沖縄へ遠征したいなあと懐かしい気持ちになります。

2025.8.28

安田風眞