No. 81 ウミウサギ科のキノコダマ(茸玉)

 

第81回目は、ウミウサギ科のキノコダマ(茸玉)です!

 キノコダマはカリフォルニア湾~エクアドルにかけての中米太平洋浅海域に分布する、殻長10〜30mmほどの小型のタカラガイの仲間です。

 まさに毒キノコ!と言わんばかりのその毒々しさは、一目見たら生涯忘れることはないであろう衝撃的なルックスと言っても過言ではないはず。薄紫まじりのくすんだ白色の地の殻表には橙色の丸い突起がびっしりと散りばめられ、さらにこの突起は殻の中央部を除いたほとんどが濃褐色で縁取られることで、本種のエキセントリックな印象に拍車をかけます。殻を返せば褐色の腹面にはキノコの傘のように白い襞が密に走り、背だけでは終わらない本種の奇抜さに賞賛を送りたくなってしまうのです。そんな複数の鑑賞ポイントにあふれる本種ですが、全ての要素を一目で楽しむことのできる側面からのアングルで眺めるのが一番のおすすめ。特に突起と襞が混じって溶け合う様は実に見事で、本種にしか成し得ないその型破りな美しさに息を呑んでしまうことでしょう。何がどうなるとこのデザインに収束するのかは全く想像がつきませんが、そんな摩訶不思議な自然の造形美に想いを馳せるひとときこそが、貝殻収集の究極の喜びの一つでもあるように思います。

 小学生の頃に博物館の収蔵庫で初めて本種を手に取った時は、びっくりして声が出てしまったほど私にとっては非常に印象深い貝の一つです。今回、20数年越しにようやくキノコダマを標本箱に納めることができました。終わりなき収集の道は、かくして果てしなく続いてゆくのでしょう。

2026.8.30

安田 風眞