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No. 82 タケノコガイ科のリュウキュウタケ(琉球筍)

第82回目は、タケノコガイ科のリュウキュウタケ(琉球筍)です!

 リュウキュウタケは紀伊半島以南・小笠原諸島以南、熱帯インド-西太平洋の潮間帯下部〜水深40mの砂底に分布し、大きなものでは殻長200mmに迫る本邦最大のタケノコガイです。

 マッシブな体層からは螺塔が細くも力強く伸び、さらに殻表が鈍く輝く様は大型獣の牙のようなただならぬ迫力あるルックス。厚手の殻は圧巻の重量を誇り、一切の繊細さを感じさせないその巨体はタケノコガイらしからぬ異次元の存在感を放ちます。一方で黄色味がかった淡褐色の地には黒い斑点が並び、天を穿つ巨塔に延々と並ぶ窓を思わせる意外なデザイン性は、ただ大きいだけでは終わらない本種のえも言われぬ魅力を引き出すのです。

 一方で現実的な問題に目を向けると、タケノコガイの仲間は殻口が狭いうえに貝殻の巻き数が多く、キレイに中身を出すのが本当に大変で・・・。標本の作成にはとにかく手間がかかります。しかし海底から掘り出した本種の美しさの前ではそんな苦労など忘れてしまい、つい持ち帰ってはその後訪れる長い戦いの火蓋が切って落とされるのです。

 私ごとで大変恐縮ですが、今月の上旬に祖父が旅立ちました。私にとっては貝の世界の扉を開いてくれた張本人であり、我が人生に多大なる影響を与えてくれた人物でした。今こうしてコラムを認めているのも、全ては今から20数年前に、幼かった私の小さな手に祖父が握らせてくれた美麗なる貝の標本たち、未だ忘れることのないホシダカラやリュウキュウタケ、ソデボラ、ヒメヒオウギ、ミドリパプアマイマイ・・・etc.から始まったのです。体調を崩す以前は「貝のおはなし」の熱心な読者でもいてくれた祖父を偲び、今回は”始まりの貝”の一つである本種を選んだ次第です。

2026.9.29

安田 風眞

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