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No. 72 オニコブシ科のオニコブシ(鬼拳)

 

第72回目は、オニコブシ科のオニコブシ(鬼拳)です!

オニコブシは、奄美諸島以南の熱帯インド-太平洋、潮間帯〜水深5mの波あたりの強い岩礁域やリーフエッジに生息する、殻長100mm程度の中型の巻き貝です。

本種最大の魅力は何といってもやはり、まさに鬼の拳と言わんばかりのその名に恥じぬ力強いデザインで間違いないでしょう。殻表に端正に並ぶ棘はどれも短くも鋭く伸び、本種が鬼の名を背負うことに微塵も疑問を残しません。殻口外唇には丸みを帯びつつも確かな存在感を放つ歯状の突起が並び、これが黒く染まる様も相まって、狭い縦長の殻口をさらにシャープに印象付けます。もはや写真から質量を感じんばかりの印象の通り殻は非常に重厚で、白と黒を基調にしたカラーリングも本種が持つ特有の迫力の一翼を担っています。ここに薄いフィルム状の殻皮が張り付くことにより、この白は殻口周辺を除いて夕空を思わせる飴色を帯び、ノスタルジックな味わいとなり本種の魅力を引き立てます。私がこの標本をクリーニングしていない理由の一つは、この色彩を手放すのがあまりにも惜しいからです。クリーニングには次亜塩素酸ナトリウムを使うため、主にタンパク質で構成される殻皮は無惨にも全て溶けて消えてしまうのです・・・。そのうち、薬品は使わずに簡単に仕上げた姿で再登場するかも分かりません。

この標本は大学院生時代にインターンシップに参加するため、沖縄は八重山諸島へ飛んだ際に採集した個体です。身抜きに失敗し内臓が殻の奥に残ってしまい、しかし悠長に腐敗を待つほどの時間は無く、早急に処理を完了するために殻長部付近にドリルで穴を開け水で押し出すという極めて邪道な方法で解決を図りました。当時はこの穴を見るたびに暗鬱な気持ちになったものですが、今となってはそれも良い思い出です。

2025.11.27

安田 風眞

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