No. 74 ヨメガカサ科のマツバガイ(松葉貝)

第74回目は、ヨメガカサ科のマツバガイ(松葉貝)です!
マツバガイは、男鹿半島・房総半島から九州南部・朝鮮半島の潮間帯岩礁に生息する貝です。分類上は腹足綱に属する巻貝の仲間ですが、殻は螺旋構造を取らない異端児です。
殻表には殻頂から放射状に濃褐色の模様が走り、これを松の葉に擬えこの和名が与えられました。個体差こそありますが、発色の良い個体では外縁が鮮やかな暗青色で彩られ、ブルーのリングとなって浮かび上がります。しかし、本種最大の魅力はその内面にこそあります。橙色の中心部を真珠光沢が取り囲み、さらに殻表の放射模様が透かされることで大海原に登る旭日を思わせる雄大な趣き。殻表からは想像もできないあまりの意外性に、思わずため息が漏れてしまうのです。一見すると非常に地味で、磯で手に取ることさえ億劫になるほど花がないように思われがちな本種ですが、一度岩から剥がせばその隠された魅力に胸を打たれることでしょう。ちなみに、古くは”ウシノツメ”という名が与えられていたようで、酪農家の友人に聞いてみたところ、確かにたまにこんな模様の爪の個体がいるよと教えてもらいました。
実は本種、磯で比較的簡単に採集できる美味しい貝でもあります。煮てもよし、焼いてもよしの本種ですが、歯舌と呼ばれる”歯”を除去しなければジャリジャリとして食えたもんじゃありませんのでその点はご注意を。お住まいの地域の漁業調整規則を調べてみて、採集に問題がない場合はぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
2026.1.29
安田
風眞



































