No. 75 ムシロガイ科のアラレガイ(霰貝)

第75回目は、ムシロガイ科のアラレガイ(霰貝)です!
アラレガイは、房総半島以南、熱帯太平洋の水深10〜100mの砂底で暮らす小型の巻貝です。
20〜30mm程度の殻はずんぐりむっくりとした非常に可愛らしいシルエットで、何やら妙に胸がときめく佇まいではありませんか。殻表では縦肋が螺溝で切られることでイボ状の突起が生じ、これを霰(あられ)になぞらえこの和名が与えられました。生きている個体では、この霰の間にびっしりと泥が詰まっていることもしばしば。これをブラシで優しく洗浄してやると、鈍い光沢を帯びつつ、ややまだらな濃淡まじりの褐色の地肌が現れ、肩上の突起の存在により縫合部が際立つアウトラインや、殻長へ向かうほどに彫刻が緻密になってゆく圧巻のデザインが露わになります。殻口は純白で強い光沢を放ち、外唇上に小さな棘状突起がちまちまと並ぶ様もチャーミングで、ルーペを片手にあらゆる角度からじっくりと観察する時間が実に楽しいのです。
本種は腐肉食性、つまり生物の死骸を食べる海のお掃除屋さんを担う種の一つで、実はこの標本も魚の死骸に集まっていた個体を採集したものです。学生時代、貝の標本処理のために本種の仲間を大量に飼育していた時期がありましたが、彼らの”仕事ぶり”には目を見張るものがあり、改めて分解者の存在の偉大さに脱帽したものです。
2026.2.27
安田
風眞


































