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第14回 ハツユキダカラ(初雪宝)のおはなし

14回目は、タカラガイ科のハツユキダカラ(初雪宝)です!

ハツユキダカラは房総半島・能登半島からオーストラリア北部に分布しています。本種は生息する深度によって殻の色味が異なり、浅場の個体は青みを、深場の個体は黄色みを帯びる傾向があるようです。命名者は褐色を背景に白点を散らした本種の色彩に、冬枯れに降る初雪を見たのでしょうか。殻はぷっくりとほどよく丸く膨らみ、その名の通り雪模様が非常に可愛らしい中型のタカラガイです。また、前述の通り殻の色彩には個体差が目立つため、お気に入りの個体との出会いを探すのが非常に楽しい種の一つであるように思います。

 私は秋田県でこの貝を拾ったことがあります。このように分布圏外で貝を見つけた時に考えるべきことは①誰かが外部から持ち込んだ貝を捨てた、②死滅回遊してきた幼生が着底・成長し力尽きた、この2つです。生まれたばかりの貝の赤ちゃんの大多数は浮遊幼生というプランクトンとして、海流に乗って旅に出ます。浮遊期間は種によって異なりますが、長いものでは数か月に及びます。そして適切な環境に到達した幼生は着底し、我々のなじみのある貝の姿へと変態します。この時、誤って分布圏外に出てしまい、そのまま着底してしまう個体が一定数存在します。そしてこれらのほとんどは季節的な海水温の変化とともにやがて死滅してゆく運命を背負っています。これが死滅回遊です。ハツユキダカラは比較的冷たい海水に対する抵抗力が強く北方での採集事例が多い種のため、私の標本はおそらく後者であると推測されます。

故郷を知らずに遥か秋田の海に迷い込んでしまったハツユキダカラの標本を手に取ると、つい慣れない都会で暮らす自分を重ねてしまいます。私はまだまだ旅の途中の“浮遊幼生”でありたい、ようやく冷たくなってきた風を頬に感じながら、そんなことばかりが頭に浮かんでしまうのです。

安田 風眞

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