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第19回 クモガイ(蜘蛛貝)のおはなし

 第19回目は、ソデボラ科のクモガイ(蜘蛛貝)です!

 クモガイは紀伊半島以南、熱帯インド-西太平洋域の浅い海に分布しています。その名の通り殻口外唇の周囲には蜘蛛の足を連想させる7本の棘が発達し、トゲトゲとした攻撃的にも見える外見をしていますが、実際は海底の砂礫中の藻類やデトリタス(有機物)などを食べている平和主義者(?)です。老成した個体では殻口周辺がガラスをかけたかのような滑らかで濃い紫色で彩られ、若齢個体と比べるとまるで別種と誤認してしまうほどに、妖艶ささえ漂う佇まいになります。

本種はソデボラ科の中でも特によく目にする大型種の一つです。市場での流通こそほとんど見られないものの、容易な採捕が可能かつ味も良いため分布地域では古くから食用として愛されてきました。私もこれまで数えきれないほどクモガイと出会ってきましたが、どうもこいつを見るとついちょっかいを出したくなる気持ちが抑えられなくなり、必ず一度手に取ってしまいます。そして自分が沖縄の海に浮かんでいるという充実感とつかの間の非日常を実感し、スノーケルを咥えた口角が上がってしまうのです。

 初めてこの貝のFDFresh Dead:死後間もない大変状態が良い様)漂着個体を拾った16年前の夏の、首筋を焼く強烈な日差しとどこまでも碧く透き通った慶良間諸島の海を今でもはっきりと思い出すことが出来ます。少年に手を振るかのように棘の一部だけを突き出し砂浜に埋もれていたクモガイは、私の心を南国に釘付けにするには十分すぎる海からの贈り物でした。標本箱のクモガイは今でも私を海へと誘います。一日も早く、大手を振って旅へ出られる日々が戻ってくることを切に願います。

安田 風眞

‐クモガイの商品ページ‐

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