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第22回 ニシキノキバフデ(錦ノ牙筆)のおはなし

 第22回は、フデガイ科のニシキノキバフデ(錦ノ牙筆)です!

ニシキノキバフデは紀伊半島以南、熱帯インド-太平洋に分布しています。フデガイ科の貝殻はその名の通り、筆の穂先によく似た形状をしています。しかし本種はただの筆ではなく、縫合に段が付き、肩に顆粒状の突起を並べた荒々しい外見を牙になぞらえこの和名が付けられたのでしょう。フデガイ科の中では中型になり、大きさの割に重厚で滑らかな貝殻は手にすると心地よい満足感を与えてくれます。さらにこの堅牢な貝殻の表面は鮮やかな橙色の斑点で彩られ、白い砂浜と果てしなく広がる碧い海が目に浮かぶような“南国の風”を漂わせる貝です。一方で殻口内部は地味にも見える薄いクリーム色を帯び、派手に着飾ったドレスの下に隠した意外な純朴さが垣間見えるような、そんな貝です。

本種によく似たオニキバフデという種がおり、簡単に書くとニシキノキバフデを大型化して赤い斑点をより細かくし密に並べた貝です。こちらも非常に魅力的なためどちらで書くか少々悩みましたが、潮間帯で比較的出会いやすく、サンゴ礁の窪地に溜まった砂の上を這う姿を見かける度に嬉しい気持ちにさせてくれる本種への思い入れからエッセイにはこちらをチョイスしました。

「都会の自然選択説」に翻弄される日々の中で、私はニシキノキバフデでありたいと、ぼんやりとそんなことを考えてしまうのは連日の猛暑のせいでしょうか。今年も長い長い夏がやってきました。適度な水分と塩分、そして“貝分”を補給して乗り切りましょう!

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安田 風眞

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