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No.36 ウミノサカエイモ(海之栄芋)

36回目は、イモガイ科のウミノサカエイモ(海之栄芋)です!

ウミノサカエイモはインド洋-西太平洋に分布する大型のイモガイで、かつて世界一高価な貝として君臨した「イモガイの王様」でした。ちなみに世界最大の標本は殻長180mmに達しますが、一般流通している大型の個体は120mm前後のものが多い印象です。大型個体においてはイモガイにありがちな「撫で肩」ではなく、各段の肩が立ち堂々たるその様はまさに王の風格を放ちます。また殻表に描かれる緻密な三角斑と強い光沢を帯びた濃褐色の地肌に、螺塔・体層の双方が上下にバランス良く伸びた抜群のプロポーションを兼ね備えた本種は、よく似た模様を持つタガヤサンミナシとは一線を画する美しさを誇ります。この貝を貶す言葉を私は知らず、王の王たる所以を感じざるを得ません。

本種は1777年に初めて発見されて以来、なんと20世紀を迎えるまで全世界で標本が25個程度しか存在しなかったという歴史があるほどに希少な貝でした。幻の貝の噂は噂を呼び、1700年代後半にはあるコレクターがこの貝を高額で購入した直後にその場で踏み砕いて自らが元々所有していた標本の価値を誇示したなどというエピソードが捏造・流布されてしまうほどに、誰もが羨み、憧れた貝でした。そして1963年、殻長140mmの標本が2000ドル(現在の貨幣価値に換算すると300400万円)で取引され、これを以て当時世界で最も高価な貝として記録されました。

今では生息場所が判明し、また採集技術の向上によって比較的安定供給されるようになり、程度によっては数千円も払えば手に入るようになりました。とはいえ、未だその価値が色褪せたわけではなく、いつの時代もコレクターから愛され続ける栄えある種の一つです。かく言う私も本種に魅了された一人であり、より素晴らしい標本を求め続けています。私が所有する写真の個体は僅か69mmしかなく、発色も芳しくなくウミノサカエイモ本来の美しさを伝えられないことが悔やまれます。いつの日か、150mmオーバー、いや夢は大きく180mm級の美個体を手に入れるのが野望の一つです。

2022.11.30 安田 風眞

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